つぶやきより長く日記より短く

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読書感想文 第50巻

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『僕とやさしいおばけの駅』

作:永菜葉一/富士見L文庫

 

小学5年生の優太君が主人公です

都会からお母さんと2人で、群馬県の横川駅からさらに奥に入ったところへ引っ越してきました。

お父さんはいません。お母さんは天国へ行ったと言うし、近所のおばさん達が“りこんして大変”と言ってるのも聞いたことがあるけど、優太君はお母さんに聞けずにいます。

 

学校へは電車で通います。

おばけの駅は、家の近くにある駅のこと。

いたずら好きの鎌鼬と力自慢の河童娘、ストーブのつくも神に狐のお面の駅長さん。

人間の駅員さんも一人。売店のおばあちゃんもたぶん人。

 

神様に選ばれてこの駅に来た人と、この世に未練を残した者との再会の駅。

優太君は、駅長さんのお手伝いをする事になりました。

 

お話しは優太君の転校のほんの少し前から始まります。

語り口はどちらかと言えば優太君目線的な感じ。

分かりやすい表現なのに、だらだら説明のない文章は、読みやすくて楽しいです。

 

新しい環境で頑張る健気な優太君と、同じように頑張るお母さん。

口には出さないけど、優太君のことをとても大事に思ってくれているのが分かります。

 

あやかし達との付き合いの中で、優太君は新しい環境でも今までのように楽しくなれる方法を学んでいきます。

ストーブのつくも神さんは、昔は人で先生だったから、宿題も教えてくれます。

駅長さんは、焼き饅頭をよくくれます。

駅員さん(人間の鉄道会社では駅長さん)は、いつも昼寝をしているけど、やさしいお兄さんです。

売店のおばあちゃんは、おばあちゃんと呼ぶと怒るので、名前で呼びます。

厳しいけどやさしいです。

 

するする読める文章で、一気に読んで後半の二つのエピソードではホロリと泣かせていただきました(゚ーÅ) ホロリ

心温まるエピソードが詰まっています。

分かりやすいだけに、先の想像もしやすいけど、そのおかげで安心して読めます(笑)

 

NHKとかで、子供向けドラマに出来そうな、そして大人もハマっちゃう的な楽しく読める一冊です。

小学生が読んでも楽しいと思います。

 

おばさんは、続きを楽しみにしています(笑)

椋鳥たちの夜(妄想族活動記)

夕方になると、駅のそばの木にたくさんの椋鳥たちが帰ってきます。

上下四車線の通りを挟んだ向かいにあるパチンコ屋さんのお陰で、賑やかさは思ったより目立たないです。

 

相当数がいると思われますが…

きっと彼らなりのその日の出来事情報交換会が繰り広げられているのかと思うと、足を止めて見ていたくもなります(笑)

 

「神社の裏のおばあさん、なんだか具合が悪そうで横になってたわ」

「あら…。秋になるとおいしい実のなる木がある家かい?」

「そう。横になったまま退屈そうにこっちを見てたわ。」

「実のない季節には米粒まいたりしてくれた…早く良くなるといいねぇ。」

 

「ビルの向こうに、また新しいマンション建ててやがった!」

「またかよ!?この辺も住みづらくなるなぁ。まあここみてぇな街路樹なら、そうそう無くなりゃしねぇけどな」

 

「母ちゃん!今日、山向こうの大きな川の方まで行ったんだよ!兄ちゃんと!」

「そんな遠くまで?気をつけないと、あの辺は大きなカラスや鷺がいるんだからね」

「お前、母ちゃんには内緒だって行ったろ?」

「ごめん兄ちゃん。でも面白かったね。大きな人間がパンくれたり、小さな人間に追っかけられたり!」

「人間も、時には怖くなるからね。用心しなきゃだめよ?」

 

「今日はとんでもない目にあったよ」

「どうした?」

「いつもの調子で公園のベンチに止まって、お日様背負って昼寝したら、猫に追っかけられてよぉ」

「おいおい、よく逃げてこれたな」

「飛びかかられる寸前で気づけたからな。…それにしてもありゃぁ見かけねぇ面だったから、流れもんだな」

「おい、そういうことは、てっぺんの長老様にお伝えしてこい。みんなに気をつけるように注意してもらわねぇと!」

「そうだな!」

 

読書の秋…もの想う秋…妄想族の活動も活発化する秋です(笑)

読書感想文 第49巻

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『紅霞後宮物語一~四』

作:雪村花菜/富士見L文庫

 

全体的に派手なイメージのあるカバーで、あらすじ読む限り、ただの後宮ドロドロ物語ではないようだったので、ずっと気にはなってましたが、やっと読めました。

 

話があちこち飛びすぎないし、余計な説明文章を入れず、登場人物の心情を語っていくことで、どんどん話が進む印象。

女性が文官武官のどちらでも、男性と同様に活躍してるのがいい。

皇帝が男子継承になったのは、もともと女帝国家だったけど、妊娠~出産~産後の育児期においても女帝の仕事をしなきゃいけなく、あまりの激務に何代目かの女帝が、これは無理だと男子継承にする遺言を遺したから(笑)

時代物にありがちな、女は不浄のもの扱いされてないところも好きです。

皇帝も皇后も、もとは軍人同士。

政略的な事から、かつての女上司を皇后にしたわけだけど…。

アラサーな2人は妙にサバサバしてて、会話が夫婦漫才のよう(笑)

夫婦として…よりは、同志として、時を経るごとに少しずつその絆をより強固にしてるかんじです。

皇后が軍を率いて戦うことも許されてるので、二巻以降は内乱鎮圧など軍事面での活躍も多い皇后。

それに対して、悪い人じゃないけど、ブラックな面も冷酷非情な面も持たなければいけない皇帝。

後宮をめぐる争いの中で…戦の中で…大事な人を亡くすこともある中、こういう夫婦関係もありだと思う、おいら的には好みのお話しでした。四巻で終わりじゃないよな…。続き読みたいし。

 

とりあえず外伝読んで待ってます。(笑)

読書感想文 第48巻

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『ぼんくら陰陽師の鬼嫁』

作:秋田みやび/富士見L文庫

 

京都が舞台の現代物語。

現代物でもいろいろ見てきた陰陽師系のお話しですが、この話が一番身近に感じました(笑)

突然出会って契約結婚をする表紙の2人ですが、実はその前からの縁(えにし)がおありで。

 

五行相剋とかの話は、身近な例をあげてもらったので分かりやすかったです(笑)

契約前提なので、素直じゃないところがあったり、ぼんやりと嫁姑の争いがあるけど、姑さんとの争いがぼんやり見える程に、お互い悪くは思ってないようで、かわいらしい嫌みに対してのスルースキルがあれば全然平気なレベルで、バトルらしい感じはしなかった。

これから1人ずつ、おじゃま親戚が増えるのかなぁ(笑)

 

普段読み慣れてるお話では十二神将だったけど、ここでは数は同じ十二天将

今回の登場は、白虎と玄武(ツインズ)と天后。

こっちの天后はゴスロリだけど、向こうの天后に着せても似合いそうだ(笑)

 

いろんな所でいろんな解釈で読めて、素直に面白いと思ったのは、ここが初めてかも。

自分の中では、十二神将であの絵柄でイメージ固定されてるから、違うとあまりいい気がしないことが多かったけど。

人それぞれの解釈があるから当然なんだけど、上手く飲み込めないというか。

でも、このお話の天将達は、同じ素材で違う味付けの料理もおいしかった…そんな感じです(笑)

 

これも続きが楽しみな一冊になりました。

読書感想文 第47巻

『ゴミソの鐵次  調伏覚書  萩供養』

『ゴミソの鐵次  調伏覚書  お化け大黒』

『ゴミソの鐵次  調伏覚書  丑寅の鬼』

作:平谷美樹/光文社時代小説文庫

 

電子版には表紙絵付いてなかったので、画像無しで…。

 

先に、鐵次と同郷の、盲目の女修法師である百夜ちゃんのシリーズを読んでたんだけど、どうやら本流はこちらのようで。

でもさすが本流。百夜ちゃんシリーズも良いけど、こちらはその上をいく(笑)

 

鐵次は、スマートに事件を収める訳ではなく、失敗も間違いもある、ホントに等身大に描かれているので、親しみがもてます。

こちらも同郷と分かった七瀧太夫。格式の高い店の花魁だけあって、矜持は並々ならぬものがあり…。

でも、本音で話してくれる鐵次のことは、憎からず思っているようで…。

そんな姉さんの気持ちが、二冊目のお化け大黒で分かります。

そして、三冊目の丑寅の鬼では、鐵次と百夜の故郷・津軽から大先達が江戸に来る。

恐らく…鐵次たち修法師の長のような人と判断。

この人の登場で、一気に場が締まり、ラストに向け話が動いた気がします。

ラストの鐵次は…“人はいくつになっても成長する生き物”って感じでした。

 

 

この話、久しぶりに読んでる最中、実写が頭の中で動きました。

本を読んでると、その役のイメージの声優さんの声でセリフが聞こえてきたり、場面が想像できたりするんですが、今回は実写(笑)

おいらの中では、鐵次は内野聖陽さんがハマりました。

話の感じから、NHKよりテレ朝で仕事人シリーズのノリで作ってほしいなぁ…と(笑)

これは実写向きなお話だと思います。

怨霊や亡魂の調伏は、表現しづらいかもしれないですが、そこは大袈裟にならない程度にCGを…(笑)

そうなったらいいなぁ…ってか、続きが読みたい…(´・ω・`)

 

百夜ちゃんシリーズはまだ続きがあるので、そちらを少しずつ読み進めたいと思います。

読書感想文 第46巻

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『ちどり亭にようこそ~京都の小さなお弁当屋さん~』

作:十三湊/メディアワークス文庫

 

小さな仕出し料理と弁当のお店。

店主は由緒正しきお家柄、長きにわたるその血筋を絶やさんがための跡取りお嬢様の花柚(はなゆ)さん

そして、酔っ払っていたとはいえ、その花柚さんのレクサスに轢かれそうになったことが縁で、花柚さんのお店でアルバイトを兼ねて料理を教わることになった、慧太(大学一年生)

 

お話の中には、もちろん2人それぞれの恋のお話がありますが、こちらは花柚さんが一歩も二歩もリード中(笑)

慧太の方は、料理もだけど、花柚さんの家のような、まるでご華族様のような家の事をはじめ、知らなかったこと、知ろうとしなかった事を様々学び、大人になっていく上での、自分の核となる何かを着実に学びとってる感じです。

 

対外的にはしっかりしてても、どこかお嬢様気質が抜けない、のんびり屋な花柚さんと今どきの大学生慧太は、良い師弟コンビです(笑)

花柚さんは、しっかりというよりちゃっかりなのかな(笑)

ライフワークと言い切るほどに、毎週それなりのお家柄のご子息とお見合いを重ねるも上手く行かず…。

そのお見合いで何をしてるのか知らないけど、破談になった相手といいお友達関係が築かれており、困ったときにお見合いネットワークを駆使して乗り切る逞しさ(笑)

単純にのほほんとしてるだけじゃないところがすごく良いです。

 

お弁当やお料理教室で出てくるメニューは、どれもおいしそうで、誰でも知ってるものばかり。

使う食材が和の趣ですかね…でもハンバーグとかも出たりするしオムライスも出てくるから、全くの和でもなく…難しい(笑)

でも、いいなぁ…こういうお弁当屋さんあったら通う…。

お弁当箱渡せば、それに詰めてくれるとか、嬉しすぎるでしょう。

 

お話の中…というか、章ごとのタイトルに暦に出てくる“七十二候”と言われるものが使われています。

お話の中にも、何気なく出てくる七十二候。暦で季節を知る…これも、この本の中でいいアクセントになっています。

こんな暦が欲しいなぁ…と。そして、次に京都へ行くことができたら、絶対おばんざい系のお店に行こうと…ダメなら駅弁じゃなくて仕出し弁当買おうと密かに誓って読了です(笑)