読書感想文 第55巻
『天使は奇跡を希う』
作:七月隆文/文春文庫
ある日、天使が転入してきた。
天国に帰る手助けをして欲しい。
天使の翼は一部の者しか見えてない。
一番最初に羽のことを問いつめてきた良史が手助けをすることになる。
帰れそうな場所を探し歩き…次第に仲間が増える。
良史の幼なじみの少年と、良史の彼女。
最初はそのままお話しが進み、天使が天国に帰り、淡い初恋が終わる…そんな物語を想像していました。
けど、物語は途中で意外な方向を見せました。
いじめ、不登校、恋愛、友情…高校生なりの悩みを抱える中起きた事故。
天使は1ヶ月の間、必死に懸命に帰る方法を探します。
なぜなら、それがタイムリミットだったから。帰れなければ、天使は消えてしまう。
心の底から大事にしているものも消えてしまう。
天使が帰る場所…帰りたいと望んだ場所。
悪魔と契約をしてまでも帰りたかった場所…。
大人ではなかなか持ち続けられない、純粋で真っ直ぐな気持ちを持つ天使に、涙が出ました。
そのまま、天使の頭を撫でてあげたい…頑張ったね…良かったね…と笑ってほめてあげたい…そんな読み終わりでした。
表紙のイラストも素敵です。
背景は真っ白だけど、その白い部分には、今治のきれいな空や、瀬戸内の海や街の景色…私たちの想像で、いくらでも変化できるのも嬉しいです。