椋鳥たちの夜(妄想族活動記)
夕方になると、駅のそばの木にたくさんの椋鳥たちが帰ってきます。
上下四車線の通りを挟んだ向かいにあるパチンコ屋さんのお陰で、賑やかさは思ったより目立たないです。
相当数がいると思われますが…
きっと彼らなりのその日の出来事情報交換会が繰り広げられているのかと思うと、足を止めて見ていたくもなります(笑)
「神社の裏のおばあさん、なんだか具合が悪そうで横になってたわ」
「あら…。秋になるとおいしい実のなる木がある家かい?」
「そう。横になったまま退屈そうにこっちを見てたわ。」
「実のない季節には米粒まいたりしてくれた…早く良くなるといいねぇ。」
「ビルの向こうに、また新しいマンション建ててやがった!」
「またかよ!?この辺も住みづらくなるなぁ。まあここみてぇな街路樹なら、そうそう無くなりゃしねぇけどな」
「母ちゃん!今日、山向こうの大きな川の方まで行ったんだよ!兄ちゃんと!」
「そんな遠くまで?気をつけないと、あの辺は大きなカラスや鷺がいるんだからね」
「お前、母ちゃんには内緒だって行ったろ?」
「ごめん兄ちゃん。でも面白かったね。大きな人間がパンくれたり、小さな人間に追っかけられたり!」
「人間も、時には怖くなるからね。用心しなきゃだめよ?」
「今日はとんでもない目にあったよ」
「どうした?」
「いつもの調子で公園のベンチに止まって、お日様背負って昼寝したら、猫に追っかけられてよぉ」
「おいおい、よく逃げてこれたな」
「飛びかかられる寸前で気づけたからな。…それにしてもありゃぁ見かけねぇ面だったから、流れもんだな」
「おい、そういうことは、てっぺんの長老様にお伝えしてこい。みんなに気をつけるように注意してもらわねぇと!」
「そうだな!」
読書の秋…もの想う秋…妄想族の活動も活発化する秋です(笑)