つぶやきより長く日記より短く

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読書感想文 第33巻


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『神去なあなあ夜話』
作:三浦しをん   徳間文庫

高校卒業後、特に定食につくわけでもなく、大学に進学するわけでもなく…やりたいこたも無かったから、適当にバイトでもして…。
と思ってた主人公の勇気

突然、学校の先生に“就職先決めてきたから!”と言われ、
手荷物と父親からの餞別3万円だけで、横浜の家から三重県の山奥、神去村へ送り込まれてしまった。
“なあなあ”とはこのあたりの方言。
翻訳範囲が広すぎていろんな場面で使われてる(笑)
でも悪い意味ではない。
もちろん横浜との差は、町・人・生活習慣・言葉(方言)と、並べればきりがないほど出てくる。

仕事は林業
1ヶ月弱の研修で、モノになるわけがない(笑)
何の仕事でもそう。“習うより慣れろ”
山の仕事は班で行う。
70過ぎのじいちゃんまでおる班で、みんな自分たちのやり方で勇気を導いてくれる。
失敗もある。脱走も試みたけど、電車の少なさに阻まれる(笑)

居候先は未だに黒電話使用でネットも繋がってないのに、なぜかあったパソコン。
誰も使う様子がないそれを利用して、勇気が日記のように日々の記録を残し始めたのがこのお話しの流れ。

仕事に慣れるため、人に慣れるため、毎日頑張る勇気。
よその班の人には勇気をよく思わない人がいたけど、それこそ自身の頑張りで認めさせた。
いろんな出来事を経て、仕事に対して、人に対して、親に対して、いろんな事を考えるようになり、何もない神去村が大好きになる。

同世代(けど年上)の女性に恋もする。けど分かりやすいのか、いつの間にか班のおっちゃん達どころか、その家族の人達もそろって地区ぐるみで知ってて、仕事同様自分たちのやり方で応援してくれる(笑)
情報筒抜けな小さな村。

夜話の方は、一年経って…のお話し。

ホントに日常の、林業の村の日々のこと。お祭りもあるし、山の神様のこととかファンタジックな部分もある。

場所を変えた北の国からみたいでした(笑)
都会育ちの純くんが、いきなり1人で林業の村に放り込まれたらこんな感じかな…と(笑)
地井武男さんとか岩城滉一さん、田中邦衛さん達が演じられた六郷の大人達が頭に浮かびました。

山あり谷あり大事件あり…なんて事はなく、なだらかな道がひたすら続く。けど舗装してないから、ちょっと揺れるよ。
(一部、揺れの大きめなとこあり)
そんな道のようなお話でした。

飽きずに話に引き込まれ、あっという間に読めてしまったのは作者さんのお力ですね。
続きも楽しみにしております。